ビュールレ・コレクションは、印象は前後がしっかり収集されていて、非常にわかりやすい。個人的に、初めて見た展覧会のテーマが高校生の時にみた「フォーヴィズム」であったこともあって、大胆な色彩を操るフォーヴィズムが、印象派とキュビズムの間にどのように存在していたのかも気になっていた。
たとえば風景画は、200年ほどでこう変わっていく。時系列で見ていくことで、人の認知がどのように変化していったのが、また芸術がどのように認知を先導したのか見えてくる。
アントーニオ・カナール(カナレット)
《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア》
1738-42年 油彩、カンヴァス 121×152cm
聖堂というモチーフが前景となっている。こうした「意味のある」建物が描かれていたところから……。
カミーユ・ピサロ
《ルーヴシエンヌの雪道》
1870年頃 油彩、カンヴァス 43.5×65.5cm
どってことのない雪道です。しかし太陽を受けて複雑な光を反射する雪が美しい。歩いている人の足音が聞こえてきそう。さきほどのアントーニオ・カナールの絵には、そういう音の気配が希薄でした。静止画的なというか。
アルフレッド・シスレー
《ハンプトン・コートのレガッタ》
1874年 油彩、カンヴァス 46×61cm
こちらも、光だけでなく動きを捉えようとしている。印象派は、ゆらぐ光に、動きを感じさせようとしたのだというのが、よく分かる。
クロード・モネ
《陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン》
1899-1901年 油彩、カンヴァス 65×100cm
その時間のゆらぎが、モネにおいてはよりゆったりと描かれる。光を描いた画家であり、同時にこの瞬間とも永遠ともいえる時間を感じる。
そして、有名なこれも。
クロード・モネ
《睡蓮の池、緑の反映》
(1920/1926年頃)
実際の大きなキャンバスを前にすると、このたゆたう時間に包まれる感覚になる。朝、昼、夕方とその色彩を変えていく睡蓮の池。青みがかった水面の、静寂した雰囲気に吸い込まれそう。
そしてその後、芸術はより一層、その純粋性を高めていく。
パブロ・ピカソ
《花とレモンのある静物》
1941年 油彩、カンヴァス 92×73cm
はい、ここで脱落。ついてこれない(笑)。