面白い企画はたいてい、違う分野同士をつなげたときに生まれます。そのために行なっていることが、一旦抽象度をあげてどの分野でも関連する話題へと広げる、という作業です。
たとえばプロ野球の面白さを、プロ野球に興味がない人に伝えるとします。そのまま専門用語を使って説明しても、いまいち伝わらないでしょう。プレイヤー同士の「駆け引き」ということで言えば、店の店員も、弁護士も、政治家も、そして小さな子をなんとかあやそうとする親だって関連します。どれも、大なり小なり駆け引きをしているからです。個々の事象の抽象度を上げて、「駆け引き」という土俵の上で、異なるものをつなげていくわけです。
優れた営業マンは、こういう土俵づくりの天才でもあります。自分とおよそ共通点のなさそうな人とも話題を見つけますし、自社の製品がどのように相手企業のメリットになるのか、その関連性も目ざとく見つけます。いずれも、自分と相手、自社製品と営業先の課題のつながりを見つけていくわけです。
この土俵のことを、コンテキスト(文脈)といいます。個々の情報はコンテンツですが、それらがどのような土俵に乗っかっているかを示しています。企画はコンテンツ勝負だと思われがちですが、むしろこのようにどのようなコンテキストに載せるかということのほうがむしろ重要なのです。
現代アートは新しいコンテキストをどのように創造するかということに、舞台が移りました。現代アートの出発点とも言われるデュシャンの『泉』では、便器にサインをしただけのものを作品として展示しようとしました。単なる便器であっても、それをアートの文脈に置くとちゃんと作品になる。コンテンツだけでなくコンテキストが重要なんだという問題提起は、現在まで相変わらず有効です。
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