情報を受け取るスキーマを豊かにするためには、「こんなこともあるのか!」と驚く経験が必要です。いわゆる「アハ!」体験と呼ばれるものです。「なるほど、そういうこともあるのか!」というアハ!体験をするとき、頭の中では認知のためのスキーマが拡張しています。
現代芸術の世界では、従来、芸術として扱われてこなかったようなものを芸術として提示し、それを見た人を驚かせることがあります。それは、芸術に対する社会的なスキーマを拡張する試みです。ひと昔であれば無視されるか、眉をひそめられるような表現も、それによって「なるほど!これも芸術なのか」と人々にインパクトを与えられれば、それは未来の「芸術」になっていきます。
芸術の話はすこし飛びすぎだとしても、人の認知が発達していく過程では、こうしたスキーマの拡張が必要であり、そのためには今まで目を向けていなかった情報をアハ!体験とともに受け取ることが大切なのです。
それでおすすめなのが、自分をターゲットにしていない雑誌を読むこと。たとえば男性であれば、女性誌を手にとって読んでみると、なるほど女性はこういう風に考えるのかと、驚きの連続です。これはもちろん逆もしかり、でしょう。また、趣味の雑誌を読んでいても同様です。最近、観賞魚を飼うようになったのですが、ネイチャーアクアリウムという世界があることを知り、その世界の雑誌を一冊買って読んで見たら、目から鱗。実に細かな構築のヒントが書かれていました。たとえば、それまでは気にもしなかった水中の二酸化炭素量が、実は水草の育成に重要になるなど、その世界では常識であっても、外部の人には驚くことばかりでした。
そうしたアハ!体験を繰り返すことが、情報感受性を高める王道なのです。