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由来にさかのぼって情報の解像度を高める

二項対立が、ふたつの両極端な概念を把握することで、世の中を立体的に見ていこうとする、いわば空間の把握だったものに対して、こちらは時間軸での把握。ある情報や概念が生まれた経緯を遡っていき、その解像度を高める方法です。

同じ言葉であっても、過去のさまざまな歴史を背負っています。哲学で「他者」というと、単なる他人のことではなく、本質的に理解し合うことのできない相手のことであったり、自分を構築する外からの関わりのことだったりします。

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文学の世界もこれが顕著です。本歌取りのように、昔の短歌を知っている人にだけわかるような引用をして、その短歌の世界を重層的にしていく。ポリフォニックに響かせるわけです。

こういうふうに、ある言葉の奥にある歴史を理解し、その歴史ごとまるまる受け取ることで、言葉の解像度が高まります。二項対立で空間的に把握しているときには、こうした時間的奥行きはある程度、捨象せざるをえない。

そしてこの歴史的奥行きは、同じ言葉であっても分野が異なれば大きく変わります。「環境」という言葉は、エコロジーの世界、教育学の世界、経営学の世界、哲学の世界、芸術の世界などでは、まったくと言っていいほど異なるニュアンスで使われています。逆に言えば、どのような文脈でどのような言葉を選ぶのかによって、その人の学んできた歴史まで浮かび上がってくるのです。

 

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