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情報のスキーマを豊かにする

情報収集について、よく「どうやってそんなにたくさんの情報を集めているんですか?」と聞かれます。特別に人と違うことをしているわけではないんですが、ただ、興味関心はかなり広い。この興味関心の網の大きさが、どうも集められる情報の多寡を決めているようなんです。

人が外界の情報を入手するとき、人は脳の中で情報を受け取るための枠組みを準備をします。まるでピッチャーの球を受けるためにキャッチャーが構えるように、です。認知心理学では、こうした情報を受け取るための枠組みのことをスキーマと呼びます。せっかくたくさんの情報のシャワーを浴びても、スキーマの準備ができていないと情報はキャッチできずに終わります。また、同じものを見ても違う情報を受け取るのは、このスキーマが異なるためだと言えます。

たとえば、同じように銀座の街並みを歩いてみても、ファッションに興味があれば今年の流行の色や柄などが目に入ってくるでしょうし、お酒好きであれば飲み屋の看板ばかりが目に入ってくるかもしれません。ワインソムリエは微妙なワインの味を利き分けます。自動車マニアはエンジン音、鉄道マニアは電車の走行音を聞き分けるでしょう。伝統工芸の職人は手に伝わる微妙な触感を頼りに器を作ったりします。いずれも普通の人ではできない芸当です。

ビジネスの世界で言えば、誰もが同じようにインターネットを利用しながらも、新しいサービスを思いつく人とそうでない人がいる。一昔で言えば、情報をたくさん持っている人が勝つという情報戦が展開されていましたが、今ではネットに情報が溢れており、そうした大量の情報から何をキャッチするのか。スキーマこそが勝負の分かれ目になっているのです。

このスキーマ、実は鍛えることができます。何度も情報に触れて、その違いについてのフィードバックを受けていると、徐々に違いが分かってくるようになります。子ども時代は、四つのタイヤで走る物体を見て、ぼんやりと「車」と認識する程度のスキーマしか持ちませんが、興味関心が生まれてくると、「あんな車もある、こんな車もある!」と、さまざまな車と接する中で車のスキーマが拡張し、また詳細になっていくのです。

情報をたくさん集めようとするのではなく、詳しくなりたい分野の情報を集めて、そのちょっとした差異に注目していく。そうして豊かなスキーマを獲得すると、何を見ても多様な情報を受け取れるようになるのです。

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