3月に京都造形芸術大学の修士課程を修了し、MFA(芸術学修士)の学位を修得。さらに4月からは同じ京都造形芸術大学の博士課程に入学しました。仕事をしながら、同時に名古屋商科大学大学院ビジネススクールで教え、そのうえ大学院で勉強する。これを聞いて多くの人は、「いつ寝ているんですか?」と聞いてきます。ぐっすり寝てます(笑)。
というのも、すべての仕事が連動しているんです。仕事ではイノベーション支援と地域活性化のふたつの柱があります。日々、クライアント企業と一緒に頭を悩ませ、さまざまなトライアルを行っています。そうして得た知見は、まずビジネススクールでの教育のバックボーンになります。ビジネススクールの学生のほとんどは社会人学生であり、それぞれに豊かな経験を持っています。その経験の化学反応から、僕自身も多くを学び、それを現場に持ち帰ります。
つまり、仕事をしながら教育を行うことで、大きなシナジーを生んでいるのです。
話はここで終わりません。京都造形芸術大学の修士課程では「芸術教育」という領域で研究を行いました。インプロビゼーション(即興)という芸術教育によって、新しい発想を生み出すワークショップを計画・実施することをテーマとした研究です。これ、実は仕事の内容そのままなんです。仕事がそのまま研究になっていき、研究で学んだことがまた仕事に反映されていく。
ここでも、仕事と研究がシナジーを生んでいます。
さらに博士課程では、「文化財を活用した地域活性化」を研究テーマに研究を進めていくのですが、これはそのまま、今取り組んでいる文化庁による日本遺産のプロジェクトです。日本遺産のプロジェクトを仕事で終わらせるのではなく、研究へと深めていく。ひとつの仕事が二倍にも三倍にも膨れ上がっていくのです。
ふたつの仕事を兼業するワークスタイルを、デュアルワークと呼びます。デュアルとは二重という意味です。もし、兼業同士、まったく重なることがなければ、正確にはデュアルとは呼べないでしょう。僕の場合、これがしっかりと重なっている。デュアルなのです。
通常、仕事同士が重なり合うと、利益相反の恐れが出てきます。所属している会社での仕事で得た知見を、そのまま他の会社で活用したら、それは問題になるでしょう。僕の場合、そこで仕事と教育、仕事と研究というように、重ねるレイヤーを微妙にずらすのです。同じ仕事というレイヤーで重ね合うとコンフリクト(衝突)が起こる。そうならないように、違うレイヤーを重ね合わせるわけです。