通勤時間や出張など、電車で移動している時間は、その後に行われる会議や打ち合わせ、プレゼンテーションの準備に使っています。移動している時間は、落ち着きません。
こうした落ち着かない環境でも集中して取り組めることといえば、緊急性の高いもの。そして移動中、緊急性のもっとも高いものが、まさに移動している先での業務への準備となるでしょう。
さきほども書いたように、さまざまな仕事上のコンテンツをテンプレート化しているので、ほんの数分あれば、その日のプレゼン資料の土台を作ることができます。そしてそこに加筆修正することで仕上げられます。そうなると、まさにその場所への移動時間さえあれば、準備が可能となるのです。
できるだけ事前に準備しておいがほうがいい、というのがこれまでの常識でした。しかし事前の準備にはいくつかの問題あります。
ひとつは、準備したときから当日まで、テンプレートのファイルがバージョンアップしていた場合、その古いままのファイルを使うことになってしまうことです。日々、さまざまな調整を行なっているテンプレートファイル、使うタイミングをできるだけ遅くした方が、最新のものを使えるのです。
ふたつめは、準備したときのことを忘れてしまい、資料の意図を思い出す手間がかかるということです。ときには、なぜそのような資料にしたのか分からず、改めて構成し直したりすることもあります。二度手間が発生するのです。
みっつめには、直前のブラッシュアップが疎かになる点があげられるでしょう。当日、資料をブラッシュアップしているときというのは、先にも紹介したように、いわゆる窮地です。意図的に作り出した窮地によって、さまざまなアイデアが湧き出る状態になります。もし事前に準備を完了してしまっていると、その安心感から新しいアイデアは生まれず、即興的な発想も生まれてきません。
こういったことからも、移動中は緊急性の高い業務、すなわち移動先での仕事の準備を行うというのが、一番の方法。そのためにも、移動時間の長さに合わせて、緊急性の高いタスクを準備しておく、つまり、それまでやらずにとっておくといったタスク管理が重要になるのです。