仕事の問題を、一時の頑張りで解決するのではなく、システムとして考える。これは長期的に仕事をこなしていくための基本姿勢です。
ビジネススクールではビジネスモデルを教えています。ビジネスモデルも、価値の創出をするための仕組み作りです。特定の個人の能力やスキルに依存していたら、それはビジネスモデルではないわけです。仕事も同様で、それをどう仕組み化していくかが重要です。これが長期的な競争優位につながっていくからです。
ビジネスや個人の働き方の中で動いているシステムを認識、構築する方法に、システム思考という考え方があります。システム思考では、システムで働いているさまざまな因果関係をループで表現します。
たとえば、仕事ができるようになればなるほど、仕事がやってきて、さらにスキルアップする。スキルアップするとさらに仕事がやってくる。こうした正のフィードバックがかかるものを、自己強化ループと呼びます。多くの仕事には、こうしたスキルアップの自己強化ループが働いています。
こうしてこのループを回し続けると、しかし弊害が出てきます。それがここで議論している時間の問題です。人のもっている時間は等しく有限であるため、仕事を多く受けすぎると破綻します。仕事の質が下がってしまうのです。そうすれば、仕事の依頼は減っていくでしょう。こうした自己強化ループにブレーキをかけるループを、バランスループと呼びます。ここでは時間制約のバランスループが働いているとみることができます。
こうしたバランスループを解消するにはどうしたらいいか。ここまで紹介してきたのは、質を担保しながら仕事にかかる時間を減らす方法でした。ほかにも手段があります。このあと見ていきますが、時間制約のバランスループを外すことが目的であることを認識して行うことが重要です。