基本的には、新入社員でもおすすめできるテクニックを紹介するようにはしたいと思っているんですが、これはそれなりに経験を積んだ人用のライフハック。素人が安易に手を出すとやけどするやつです。
自分を窮地に追い込む。
広告代理店にいた頃、佐藤雅彦さんというスタークリエイターがいて、(広告分野以外にもゲームは作るはピタゴラスイッチみたいな番組を作るはでさまざまなヒットを飛ばして、2013年には紫綬褒章なども受賞しているんですが、)その佐藤さんでもあるときアイデアが出なくて、いよいよプレゼンの日にクライアントに謝りに行く途中のタクシーでアイデアをひらめくんです。
その話が大好きで、いよいよというときに、自分の力以外のなにかが働いて、アイデアが降ってくる。
だから、時間的に無理でも、いや無理だからこそ足掻く。その窮地こそが、アイデアをもたらしてくれる。
そしてときには、無理だろうというスケジュールで仕事を組み込む。みずから窮地を作るわけです。
ただそのためには、三つの条件が欠かせません。
1)自分の実力を知っていて、難しいけれど不可能ではないというギリギリを把握していること
2)仮に失敗しても、謝って済ませてもらえるだけの信頼と愛嬌を持っていること
3)日頃の行いがよくて、運がいいと思い込んでいること
ある仕事では、位置合わせの1時間前、近くのカフェに行ってその日の提案を作ったり、またあるときは、クライアントの打ち合わせの最中に降ってきたアイデアをそのままプレゼンしたりもします。
あと1分というギリギリでいいアイデアが出たときなど、神様の存在を信じたくなったり。
こうした綱渡りの環境では、がんばらなくても、最強の集中力が発揮されるのです。
成長を促す
これは、自分の成長にもつながります。仕事に慣れてくると、失敗しそうな場面もよく見えてきますし、安全地帯で仕事を無難にこなすテクニックも身につけてきます。誰でも失敗は嫌ですから、自分の土俵の中だけで相撲を取るようになります。しかしそれでは、チャレンジすることもなくなり、成長につながりません。
新入社員の頃は、あらゆる仕事が初めてであり、チャレンジでした。そんな状況で、ぐんぐん仕事を覚え成長していきます。しかし仕事に慣れてくると成長のスピードが鈍化する。これはひとえに、安全地帯にとどまってしまうからなのです。
安全地帯を抜け出すには、ひとつには難易度の高い仕事に取り組むということがあります。初めての仕事を引き受けるときの緊張感は、自分を一回り成長させてくれます。ただ、毎日の仕事の中で新しい仕事はそれほど多くはありません。
そこでもうひとつの方法、時間制約が生きてきます。同じ仕事であっても、時間的制約の中で仕事をするとなると、とたんに難易度があがります。すでに慣れている仕事だから、仕上がりは見えている。しかしそれをより短期間に仕上げていかなければならない状況に身を置く。
この2つめのアプローチを試す中で、5割増しの仕事環境でも成果をあげられるようになるのです。