オーセンティックワークスの中土井僚さんとお話をしていたら、こんなすごいヒントを頂いた。「自分のStateをチェックするようなモデルは、意識を向けた瞬間に自分を補正できるし、その人のリソースを開放する」というものだ。
複雑な現象をいくつかの領域に分類するフレームワークはたくさんある。たとえば、緊急性と重要性でタスクを分類するやり方などはその一例だろう。これはもちろん頭の整理にはなるのだけど、瞬時に自分の頭に浮かんでものごとを処理できるかといえばそうではない。ゆっくり時間を書けて分析していくのにはいいけれども、即興性という文脈においては、どうも「使えない」のである。
けれど、自分自身の状態、Stateをチェックするものは、すごく使える(即興性という文脈で)。たとえば、「レベル3の傾聴」というモデルは、人の話を聞いているときに時折チェックしていると、ちゃんと自分のStateがわかり、人の話を聞けるようになる。リアルタイムに参照しうるモデルというのは、即興性を支えるモデルになりうる。
能における「型」も、まさに自分のStateをチェックするためのものとして機能しているように思う。佐野先生はワークショップの中で、右からという大原則を知っているからこそ、そうでないときにおかしいとわかる、という話をされる。それは、自分のStateがおかしいと知ることができるということなのだと思う。
先日、『土蜘』を演じたときにも、型は段取りではなく、自分のStateに向けられているものだということを強く感じた。動き、重心、かたち、それぞれズレているとおかしなことになる。それは、最初はまったくわからない。型を身につけると、「いま、自分はおかしいぞ」とわかるのである。これはお茶や活け花、武道などあらゆるものに通じるものだろう。
即興性を維持するためのこうしたStateチェックモデルとして考えているのは、こんな感じ(メモ)。とくに「リスクを負う」というところが、即興の重要なポイントだと思う。
・Yes, And(Yes, Butになってはいけない)
・オファーとアクセプト
・傾聴のレベル3(内的傾聴、集中的傾聴、全方位的傾聴)
・フォーカス
・ExtendとAdvance(じっくりその〈場〉をExtendできているか)
・リスクを負う(固執しているものを自覚し手放す)
・即興のレベル3(内面からの即興、相手との間の即興、場からの即興)