ライフハックって、根本的な問題解決を図るわけじゃなくて、そのときどきの、その文脈における問題を、アドホックに解決するための方法なんです。なので、その方法がその他の場面にも使えることを保証するわけではない。再現性を前提にはしていないんです。使っている本人だって、来年には別の方法を使っているかもしれない。とにかく手元にあるツールで問題解決するので、ツールが変われば手法も変わってきます。
レヴィ=ストロースは、こういう寄せ集めの道具で問題解決するやりかたを「ブリコラージュ」と呼んだわけですが、ハッカーというのはブリコラージュする職人、ブリコルールです。
ブリコラージュは、きれいにゼロから設計を起こして物をつくる「エンジニアリング」とはまったく違うアプローチを取る。ブリコラージュする思考を、レヴィ=ストロースは「野生の思考」と呼び、エンジニアリングに代表される思考を「栽培された思考」として対比させたわけです。
ライフハックの根底にはレヴィ=ストロースの野生の思考が流れており、だから中沢新一の流動的知性とも通じるものがあると考えています。その流動的知性を駆使するための方法を探ったのが、最初の「IDEA HACKS!」でした。
なので、どこか近代の科学的アプローチとは相容れない部分がでてくるのはしょうがないと思う。というか、そういうアプローチでは対処できない部分を補完的に対処しようとするのが、ライフハックなのだろう。

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