エンブレムがこれで新しく選定し直される。最終案に残った原研哉さんも葛西薫さんもすばらしいデザイナーだし、ぜひデザインを見てみたい。けれどこの機会にちゃんと問題を切り分けておかないと、また問題になると思う。
1)「コネ」なんてなくすことはできないし、そんなもので決まらないですよ。
もし今回のエンブレムが(無記名でのデザイン投票にも関わらず!)コネで決まったというのであれば、次回は審査員とコネを持たない人だけに資格があるということになる。つまり、審査員と以下の関係のデザイナーは出品できないことになる。
・審査員もしくはその血縁者と、知人・友人である
・審査員もしくはその血縁者と、大学、企業などの同僚・同窓である
・審査員もしくはその血縁者と、過去のデザイン賞で審査する・される関係であった
つまり、業界関係者とつながりがほとんどない人ということになる。組織委員会が指定した国内外のデザインコンペ2つ以上の受賞者でこの条件を満たす人は、ほとんどいないんじゃないだろうか。
逆にしっかりとした人を選ぼうとすれば、審査員はデザイン業界に関係のない人を選ばなければならない。
(ちなみに、デザイナーで「コネで選ばれた」という人もいるみたいだけど、デザインコンペで受賞して、さらに無記名投票の段階で選ばれてから文句をいうべきだと思うよ。このプロセスにおいてコネ問題を言えるのは、原研哉さんと葛西薫さんだけじゃないのかな(最終の審査では誰の作品か、審査員が知っていたという前提ですが。)
【追記】今日の記者会見を聞く限り、最終段階でも名前が伏せられていたので、これも当てはまらないですね。コネや出来レースではない。
2)なにからなにまで盗用にしてたら、デザインできません。
今回の盗用問題について、修正の経緯を見れば、最終案についてはおそらく盗用ではない。しかし、当初の案については、ヤン・チヒョルト展のポスターを参照していた可能性が非常に高い。最終案が盗用でなくとも、最初の案が盗用の可能性がある以上、このエンブレムを採用するわけにはいかない。前回触れた「レディメイド」の話と、既存のデザインを(それとわからないように)転用するのとは、まったく異なる次元である。
http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000615
しかしそれでも、「見た目が似ている」ということで即「盗用」とする流れはおかしい。次のエンブレムは、この制約の中で考えなければならない。これは多くの人がエンブレム案作成でやっていたように、過去の家紋や文様を参照するしかなくなってしまう。原案はNG、しかし最終案はOKというところで線が引かれていないと、おかしい。
3)著作権および商標問題はちゃんとクリアしよう(これは当然)
これは当たり前なので、大丈夫だろう。内部資料であっても、著作権処理したデータを使いましょう。