東京農工大企業実践イノベーションリーダー育成プログラムにおける第2回エコシステム・フォーラムでの講評です。思い出しながらさくっと書き起こしてみます。
みなさん、おつかれさまでした。私からは三つコメントしたいと思います。
まずひとつは、ビジネスの全体像を捉えることの重要性です。ビジネスモデルキャンバスを使うことの利点は、ビジネスの全体像が見えるということです。これが見えていないと、ビジネスに欠かせない要素が抜け落ちたりします。商品を作ることに目がいき、事業全体をどのように構築するかということに注意が向かなくなります。評価されたものは、ビジネスモデル全体をしっかりとデザインできていたチームでした。
ふたつめは、顧客のニーズ探索です。授業に出ていただいたチームには、かならずユーザーへのヒアリングをするように言いました。これをちゃんとやってきてくれたチームは、プランに説得力がありました。プランをすることがゴールではありません。そこからユーザーにヒアリングするところがスタートです。そこで、顧客が本当に望んでいることがみえてきます。このスタート地点に辿りつけていないチームは、評価も厳しくなったと思います。
みっつめは、バックキャスティングです。このバックキャスティングには2つの意味があります。ひとつは社会をどのようにしていきたいのかという未来像があるということ。もうひとつは、その未来像からバックキャストしたときに、最初のリアリティのある第一歩を描けているかということ。このふたつがそろって初めて、バックキャスティングしたと言えます。こじんまりとした現実的なビジネスプランだけでは、「じゃあ、この先なにがやりたいの」となる。一方で壮大な未来のプランでは、非現実的で具体的にどう進めていくかが見えてこない。両方揃っているチームが、高い評価を得たように思います。
ビジネスの全体像、顧客のニーズ、バックキャスティング。この三つにぜひ、気を配ったプラン作成を心がけてください。