中国が、現状の秩序を尊重するという意味での「平和的な国家」だという思い込みも怖いけれど、中国がそのまま日本に攻めてくるみたいな短絡的な話も、にわかに信じがたい。真実はどうもその間にある。中国の考えていることが、Togetterにまとまっていました。
まず、中国が侵略(と我々が感じてる)南沙諸島については、中国にとっては侵略などではない。失った領土を「回復」するだけの話で、日本にとっての北方領土と同じような感覚だといいます。
我々が「中国の侵略」と呼んでいるのは、中国側からすると「領土完整」と言って、失地回復ですから、本人たちはこれが侵略だとは思ってない。19世紀ぐらいから20世紀にかけて、失った領土を取り返すだけなので。そこには「琉球」が入ることがあっても、日本が入ることはない @sakanaQoo
— 黒色中国 (@bci_) 2015, 7月 24
「琉球」がはいってしまうところが怖いけれど、日本列島がはいるわけではないです。つまり、日本と中国がガチで戦争をする危険があるわけではない。ただ、東南アジアの国々も、アメリカも、こうして中国が「失地回復」することを「そうですねー」と黙ってみているわけにはいかない。
中国のこうした動きを制限するためにも、アメリカだけでなく日本も協力していく必要があり、それが今回の安保法制につながったわけです。アメリカと中国は、とくにサイバー空間においては、戦争と呼んでもよいような状態になっている。韓国が中国よりの姿勢を見せている今、日本としてはしっかりアメリカ側であることの姿勢を示してほしいというのが、アメリカの強い強い要望なのだろう。
もう一つ、中国が「領土完整」の対象にしているかを判断する基準で「核心的利益」 http://t.co/14pueENlBr があり、これに「当代中国的核心利益…第二,国家主权和领土完整。如台湾问题、西藏问题、新疆问题、钓鱼岛等是中国的核心利益所在」とある @sakanaQoo
— 黒色中国 (@bci_) 2015, 7月 24
この核心的利益という表現が重要で、そこに尖閣諸島は今のところ入っているかどうかグレーのよう。日本一国の話であれば、この尖閣諸島さえ取られなければその先の沖縄も大丈夫ということなんだけど、アメリカとしては日本にもう少し広く地域を見てほしいと思っているんですね。
このとき、日本の中にももちろん、中国よりのスタンスを取る人も少なからずいる。中国との関係を重視して多少の「侵略」は許容しつつ、アメリカと中国とを天秤にかけて二国のパワーバランスのなかで生き残るという戦略だ。このあたりは世界観の違いなので、融和することは難しそう。
僕個人としては、世界全体をながめたとき、ウイグルやチベットなどでの「民族浄化」を進める中国が、これ以上その支配地域を増やすのには反対です。
ただいずれにしても、日本列島への「侵略」は考えにくい。(いちおう、日米同盟が維持される前提の中で、です。)
とりあえず現段階で、中国の領土完整の「本丸」は台湾でして、尖閣問題は、台湾回収の1部と私は考えています。日米が尖閣にレーダーサイトを作ったり、軍事施設を作り出すと面倒なので、係争地扱いにして、常に圧力をかけておいた方がいい…という判断ではないかと。 @sakanaQoo
— 黒色中国 (@bci_) 2015, 7月 24
ということで、中国としてはこういう世界観で世界地図を眺めているということになります。
西はギリシャの手前から、東は第二列島線まで、中国が経済と安全保障の主催者になろうとしているわけで、今はそういう世界の構造の変革期にあります。そこで日本は何をするのか。それが問われている。中国が侵略するとか、安倍さんが戦争をしたがってるとか、そういう話ではない @sakanaQoo
— 黒色中国 (@bci_) 2015, 7月 24
アメリカとの関係強化というのは、国民の生命の安全を守るために不可欠で、なんとしてでも今回法制化しておきたいという安倍首相の考えに、僕は大賛成です。