『反知性主義とファシズム』読了。
安倍政権や橋下徹を「ファシズム」と揶揄する人たちの言説にまったく共感しないし、そういう言い方をしているからダメなんだと思っていた気持ちの代弁をしてくれる内容。
映画『風立ちぬ』について、その中に潜んでいるファシズムを生命主義的なものとして捉える。それは宮沢賢治的であり、国柱会の仏教ファシズム系につながっていく。そういう文脈で安倍政権を捉えるよりは、その中心にあるのは反知性主義であり、斎藤環さんのいう「ヤンキー的」なものなのだという。
そして、ヤンキーはファシズムを作り出すにいたらないという見立てを斎藤さんはしている一方で、佐藤優さんは次のように述べる。
斎藤氏は、ヤンキー政治家がファシズムを展開することはできないとかんがえる。私は霞ヶ関(官界)で「自分はきわめて有能だが、それが組織によって正当に評価されていない」と不満を持つ、能力は低いがヤル気のある官僚がヤンキー政治に利用価値を見だすと、日本でもファシズムが成立すると考えている。
いずれにしても、いまの政権に対抗しようとしたら「ファシズム」というレッテル貼りより、ヤンキー的な文脈で理解し、そこに対策を打つほうが効果的だろう。