d.schoolの提唱するデザイン思考プロセスである、観察から共感、アイディエーション、プロトタイピング、テストの流れについては、実行は可能です。実際に、コンサルタントがついて実行している例も多いと思います。しかし、それが実際のビジネスとして立ち上がった事例は、それほど多くないという印象です。これはデザイン思考プロセス以外に課題があるためです。
この課題は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、誰がリーダーシップを取って進めていくかというチームビルディング、リーダーシップの問題です。多くの起業家が、自分のビジョンを実現するために時に強引なまでのリーダーシップを発揮するのに対し、大企業の社員はいい意味でも悪い意味でも、そこまでのリーダーシップを発揮しづらい環境にあります。
ふたつめは、最終的にどのようにビジネスとして着地させるかという問題です。デザイン思考で生み出された商品やサービスは、その新奇性が高ければ高いほど、ビジネスへの落とし込みに苦労します。デザイン思考のプロセスが結局ワークショップのなかだけで終わるのは、現実のビジネスへの落とし込みができないためです。
今回、『スタート・イノベーション!』著者のウルフェン氏によるFORTHメソッドは、デザイン思考プロセスの前段であるチームビルディングからビジョン設定のプロセス(FULL STEAM AHEAD)と、デザイン思考プロセス後のビジネスへの落とし込み(HOMECOMING)を設定しているところに特徴があります。多くの企業でのコンサルティング経験から生み出された、現実にイノベーションを起こすために必要なプロセスを提示しています。
デザイン思考プロセスを挟み込むこのふたつのプロセスは、デザイン思考を企業の中で実践するのに大きなヒントになるのではないかと思っています。
貴重なワンデイワークショップが6/25に行われます。ぜひご参加ください。