イスラム国による日本人人質殺害予告には衝撃的だった。しかしここで動揺してはいけない。こういう機会を捉えて安倍政権批判を始めると、これはテロリストの思う壺である。これについては、東京大学准教授・池内さんの投稿がとても参考になる。
「しかしテロリスト側が中東諸国への経済支援まで正当なテロの対象であると主張しているのが今回の殺害予告の特徴であり、重大な要素である。それが日本国民に広く受け入れられるか、日本の政策になんらかの影響を与えたとみなされた場合は、今後テロの危険性は極めて高くなる。日本をテロの対象とすることがロー・リスクであるとともに、経済的に、あるいは外交姿勢を変えさせて欧米側陣営に象徴的な足並みの乱れを生じさせる、ハイ・リターンの国であることが明白になるからだ。」
「イスラーム国」による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ - 中東・イスラーム学の風姿花伝
こういう状況に陥ったからこそ、対テロの支援を確実に、信念を持って進める以外にない。ローリスク、ハイリターンという認識が広まると、第二第三の被害が起こるだろう。つまり、軟弱な態度をとって相手の思ったような行動を取ることで、むしろテロに巻き込まれやすくなるのだ。「話せば分かる」のであれば、今回の人道支援でこんなことが起こるなんて考えられない。
今後、日本人がテロに巻き込まれないためにも、日本人の誘拐がハイリスクであること、ローリターンであることをメッセージしなければならない。安倍首相には、毅然とした態度で向かって欲しいと思う。
しかし一方で、外務省がほんとうにしっかり仕事をしてくれるのか不安なところもある。キルギスでの日本人拉致事件では、身代金が支払われそうになった(つまり日本人人質がカネになるということになりかねなかった)だけでなく、その身代金がなんと
「キルギスの治安当局者間で山分けされていた」
というではないか……。
【佐藤優の眼光紙背】キルギス日本人拉致事件で消えた300万ドルの身代金
大丈夫だろうか……。