小山:例えば若い新人、入って2、3年目の社会人なりたての人に対して、将来自分の軸を育てていくためのアドバイスはどんなものがあるんでしょうか?
能町光香さん:私は、新入社員でも、4~5年目、27、28くらいまでの人には「どんな方からでも声をかけられる人になりなさい」と言っています。
そうするといろんな人が、いろんなことを教えてくれて、自分のところに情報を持って来てくれる。先輩に「今日時間あったら、ご飯行こうよ」って誘ってもらってるのに、今の人たちは、忘年会ですら何の意味があるんですか、って言ったりするんですよね。
でも一緒に行ったりすると、やはり声をかけられるようになるし、そうするといろんな情報が集まってくるので、自分の思考の幅が広がっていく。決断力の幅が広がって、人生の選択肢も広がっていくと思うんですよね。
やっぱり、上司はこれから伸びしろや成長幅があったり、素直で気が利く人だったり、目が輝いている人だったり、あとは究極には一緒に働いて気持ちいい人、そういう人を抜擢するんですよ。
素直な人だったら、「すぐにはできないかもしれないけれど頑張ります!でも何かあった時には相談させてください!」って言って上司といい関係を取って、どんどん、言葉で言うと出世なのかもしれないですけれど、自分のやりたいことをやっていけますよね。
なので、若い方たちは「いろんな人から声をかけられる人」になるのが一番いいんじゃないかなと思いますね。
小山:僕自身が、例えば自分の若かった頃の自分にアドバイスをすると、今おっしゃったことと裏返しになるんですけれど、「他人の人生にもっと興味を持ったらいいんじゃないのか」って言いたいんですよ。どうしても他人の評価を気にする人っていうのは、自分も人をまたジャッジしてしまうんです。
能町:なるほど!
小山:「この人は出世街道外れた」とか「この人はすごい人だ」とか。
能町:関わる人も、そういう視点で選んでしまってるんですね、そこで。
小山:そうです。僕も、いま38歳でそんなに長くは生きていないですけれども、でもそれはくだらないことだっていうのが分かってきたんですよね。能力がある、でも機会に恵まれない人だっていっぱいいるわけですよ。能力の良し悪しよりも、むしろ運とか、そういうことによっても左右されるんです。
で、運がいいっていうことは何かっていうと、さっきのような「素直に生きている」っていうことで、じつは全然違う人生がやってきたりする。
そう思うと、「こういういろんな人生があるんだ」と、嫌な上司であっても受け入れたほうがいいし、面白い。
それぞれ、生きてきたヒストリーがあって、家族もいたりだとかいろんなことがあって、そこに想像力を働かせると、そこから学ぶっていうことがありますよね。
どうしても人は、ジャッジメントしてしまいがちなんですけれど、でもそうすると逆に人からジャッジメントされて、声をかけてもらえなくなる。
逆に自分が人に興味を持つようになると、「ちょっと飲みにいきましょうよ」ってひと言が素直に出てくる。利用しようとかじゃなくて、本当に興味があって行く。そうすると人との関係がすごく円滑に行くようになって、最終的に自分がまた生かされていくっていうことになるのかな、と。