小山:スケジュール管理についてもお伺いしたいです。私は、最近予定の調整のやりくりが大変なんですが……。何か、予定もないのに、忙しがっている人っているじゃないですか(笑)。
能町光香さん:いらっしゃいますね。
小山:なんか髪を振り乱して、あわてている。
能町:そういう人って「今、忙しいから」って口にしちゃいますよね。でも、そういう人ってだいたい忙しくない(笑)。
小山:すごいアピールですよね。何かうしろめたいことがあって「忙しい」風になってるんじゃないかと思うんですけれども。本当に忙しい人は飄々と仕事していますよ。
能町:そうですね。
小山:その差は何を原因として、生まれてくるんですかね。
能町:私も何百人という人を見てきたので、じつはだいたい瞬時に「ああ、この人は本当に忙しいんだな」とか「この人は忙しそうにしていることがかっこいいと思っている人なんだな」とかすぐ分かるようになりました。(笑)
いわゆるエグゼクティブの人で、ミッションやゴールの達成に向かって突き進んでいる人は、まず会社に来て、オンになっているときはもう「実行」だけなんですよ。何かプランや戦略を立てたり、誰かと連絡を取ったり、スケジュールを考えたりっていうのは、だいたい移動中にしているんです。会社から帰る車の運転中とか。
ある上司は「じゃあ、お先に」って言って帰られて、家に着くまでの30分の間に異様にたくさんメールが来るんですよ。車で携帯メールは、しちゃいけないと思うんですけれど(笑)。
小山:はは(笑)。
能町:会社にいるときは「実行」ばっかりなので、帰るときに、指示しなければいけないこととかをいろいろ思い出すんでしょうね。
小山:そうすると、オフィスで椅子に座って悩んでいる人というのは、そうじゃない(オンのときは実行のみ、という仕事の仕方をしていない)ってことですね。
それ、ちょっと分かります。僕も、今日はラジオの収録に備えて電車の中で何話そうかなって、もう1度能町さんの本を読み直したりしていました。そういうインプットをしたり考えたりする仕事は、オフィスできちんと時間を取ってやるよりも、移動中などの、あえて隙間時間をねらってやってしまった方が集中できる。
能町:そうですよね。
小山:そうすると、もう現場に来たら話すだけでいい、という感じになって、帰る時には「こういうことやらなきゃ」と考える。今、この瞬間にはこれをやればいいっていう、迷いがない状態かなって感じですね。
能町:たぶんそこに座ったら、やることは決まっていて、ちょっとした空き時間の時にいろいろ思いをめぐらせる感じですね。なんか見ていると、1日がすっきりしているんです。
小山:ああ、シンプルなんですね。
能町:シンプルですね。