経営というのはアートとサイエンスの融合。アートの部分で新しい成功パターンを発見したら、それを今度はサイエンスによって再現、拡大していくことになる。
セブンイレブンのカフェは、新しい価値を生み出すアートと、それを再現、拡大の部分のサイエンスで、秀でていたようだ。
実は、「いれたてコーヒー」分野では、セブンは最後発だった。それが導入後の展開が早く、一気にトップランナーに躍り出た格好。話題をさらわれた他のコンビニチェーンも指をくわえて見ているわけにはいかない。
各社のパターンは少々異なる。
■セブンイレブン
100円の低価格。セルフサービス。成功が見えた途端、8月までに一気に15,000店展開へ。その展開力で、「コンビニカフェといえばセブン」というイメージを獲得してしまった。
■ローソン
対面販売にこだわる。レジで注文するとお店の人が入れてくれる。そのため展開スピードはセブンにやや劣る。来年2月までに8,000店。セルフでは出せない美味しさで勝負する。女性に人気のカフェラテも美味しい。価格はやや高めでMサイズ180円。
■ファミリーマート
ドイツ製のカフェマシーンで差別化。基本的にセブンと同じ戦略。価格はMサイズ150円、Sサイズ120円。
こうしてみると、セブンの100円というのは、かなり大胆なチャレンジに感じられる。180円でもなく、150円でもなく、100円。ドトールやスターバックスなどのカフェ、マクドナルドなどのファストフードとの競合を考えた場合、 この100円という価格設定は強烈なインパクトを残したといえるのではないだろうか。
こうした100円という価格設定を可能にし、かつ急速な全国展開を実現するために、(ローソンと異なり)セルフサービスでのオペレーションを選択した。
顧客の心というアートと、全国展開というサイエンス。こうした展開戦略により、顧客へのインパクト=コンビニカフェの代表という認知を獲得できたのではないだろうか。