慶応義塾大学の学生でありブルームコンセプトのインターンとして大活躍してくれた横山諒平くんが、自転車でのアメリカ横断に取り組んでいる。こうして長期間、家を離れて過ごすことは、本当にいい経験になっているんじゃないかと思う。なんとか無事、ゴールしてもらいたい。
ひとつ彼に課題を投げかけるとしたら、なぜアメリカを横断しているのかという理由について聞いてみたい。本人も衝動的に決めたことだから、なぜなのか答えることはできない。彼なりの、彼の人生を考えたときの〈危機のパトス〉が沸き起こったのだろうと思う。ただ、だからこそ、今回の旅行の理由は、これからずっと彼自身、問い続けることになるだろう。
ビジネススクール留学中に、僕はネイティブアメリカンのジュエリーを販売する事業を立ち上げた。何度もホピ族のリザベーション(居住区)に行くうちに、ホピのお祭りにも参加させてもらった。キヴァという地下の空間での体験は、本当に刺激的だった。
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しかしなぜこのジュエリー販売をやっていたのか、その当時の僕にはまったくわからなかった。しかし今なら、わかる。たとえば今回、沖縄出張でのプロジェクトや、石巻、いわきでのプロジェクトすべてに関わっている。環太平洋の海と空のつながりのなかで、腑に落ちるのだ。大げさに言えば「中央ではなく、周縁の地域に関わるために生まれてきた」のだと。
そのなかで古事記を読みなおしたときに、やはりあらためて縄文の古層の豊かさを実感する。高校生のときに梅原猛に心酔した理由も、それでわかった。すべてがちゃんとあとでつながってくる。コネクティング・ドットなのだ。
横山くんの自転車でのアメリカ横断は、その意味で、まだ始まったばかりだ。